2050年までにCO2削減を達成するため、豚の糞尿がエコ燃料振興の鍵となる役割を果たすだろう

2022年9月20日

チリにおいては、業界ブランド“チリポーク”を運営する食肉輸出協会が、企業のテクノロジー、エネルギー、環境の変革をサポートし、近隣の地域社会と共存しながら、温室効果ガスやアンモニアの削減を通して長期的に持続可能な生産を可能 […]

チリにおいては、業界ブランド“チリポーク”を運営する食肉輸出協会が、企業のテクノロジー、エネルギー、環境の変革をサポートし、近隣の地域社会と共存しながら、温室効果ガスやアンモニアの削減を通して長期的に持続可能な生産を可能にするため、豚の糞尿処理技術の活用を促進している。

2030年までに温室効果ガスを40~55%削減することを目標とし、2050年に気候中立を達成するため、2021年6月、欧州グリーン・ディールが加わることになった。この取り組みは、排出されるのと同じ量の温室効果ガスを大気中から除去することによって、最終的なバランスをゼロにしようとするものである。

この意味において、移動や輸送に由来する排出量の削減が、上述の取り組みを実現するための鍵となる。たとえ、電化がもっともよく言及される方法であるとしても、バッテリー電気自動車だけでは、提案された削減目標を実現するにはいたらないだろうというのを考えることが重要である。そうなると、エコ燃料を取り上げることが鍵となる。

エコ燃料は、あらゆる輸送手段において、カーボン・ニュートラルへのエヘルギー移行に決定的な役割を果たすだろう。このことは、今後数年で、バイオマス、例えば、糞尿やその他利用可能な有機廃棄物から得られるエコ燃料が、電気自動車よりもCO2を削減することができ、電気自動車を入手する資金を持たない人や企業に、より経済的なソリューションを提供するようになる時、まさしく現実となり得る。

バイオマス、例えば、糞尿やその他利用可能な有機廃棄物から得られるエコ燃料は、ここ数年の間に運用されることになるだろう。チリの豚肉産業がこれまでに、豚の糞尿の再利用を可能にする技術を導入し、大きな貢献を果たしてきた分野である。

チリにおいては、業界ブランド“チリポーク”を運営する食肉輸出協会が、企業のテクノロジー、エネルギー、環境の変革をサポートし、近隣の地域社会と共存しながら、温室効果ガスやアンモニアの削減を通して長期的に持続可能な生産を可能にするため、豚の糞尿処理技術の活用を促進している。

これに関して、チリカルネのサステナビリティ部長ダニエラ・アルバレスは、「この10年、チリの豚肉産業は、養豚場で排出された糞尿処理用の技術を利用して、一連の活動を実施してきました。そうした活動は、2000年から2018年の期間に温室効果ガスの排出を32%削減し、また、現在までに65%以上の糞尿が、ミミズ・コンポスト(Lombrifiltros)、活性汚泥、バイオダイジェスターといった技術の先進的処理システムで処理されるなど、有益な成果をもたらしています。そしてまさしく、バイオダイジェスターこそが、バイオガスから生成されるバイオメタンの生産を前へ進めることのできるものです」と指摘した。

これについて、「現在、養豚場にある既存の19のバイオダイジェスターによって生み出されたバイオガスの大半は、家畜やバイオダイジェスター自身の暖房のため、または、飼料のペレット化において、再生可能電力の発電やボイラーに利用されています。まだチリには、バイオガスからバイオメタンへ精製するプラントがないものの、とりわけ他の産業との相乗効果を考える時、石油の消費削減に役立ち、サーキュラー・エコノミーに貢献するエコ燃料の発展には大きなポテンシャルがあります」と強調した。

一方、チリの養豚企業の“コンシャス・オリジン・チリ”プログラムへの加入により、“豚プロトコル”の認証レベル2を選択する企業は、組織のカーボンフットプリントのレポートや定量化の分野で研修を受け、“温室効果ガス(GEI)”の課題に取り組むことができるようになる。この課題への取り組みは、後に、”温室効果ガス“排出削減計画を策定して、実施することができる。同時に、チリ政府環境省の”カーボンフットプリント・チリ“プログラムも、汚染物質排出・移動登録に事前登録の上で行われる研修や管理認定証を通して、組織のこうした活動の履行をサポートしている。

国際的には、2021年末、ブラジルにおいて、豚由来のバイオメタンを利用した、ヌトゥリブラス・アリメントス社の最初のトラックが稼働を始めた。こうした進歩は、バイオガスが持つ大きなポテンシャルによるものである。と言うのは、それを利用する方法の一つが、燃料としてだからである。この成果は、20年以上にわたって、豚の廃棄物をバイオガスやバイオ肥料に加工してきたことにより可能となった。リオ・グランデ・ド・スル州のバレ・ド・タクアリ大学と協力して行われたプロジェクトの主な課題は、現在、企業施設のためにエネルギーを創出しているバイオダイジェスターで造られたバイオガスを精製することだった。

バイオメタンは、バイオガスの一歩先を行くものである。バイオガスはメタンを含んでいるが、また、内燃機関に有害となり得るその他ガスも含んでいる。最終的に、プロトタイプは、バイオガスを精製することに成功し、メタン濃度96%を達成した。「バイオメタンは、エネルギー効率やサステナビリティにとって、ガソリンやエタノールよりも良いのです。化石燃料だけでなくサトウキビのエタノールと比べても、温室効果ガスの排出量は限りなく少ないのです」と、ヌトゥリブラス・アリメントス社は確信を持って述べている。

ダニエラ・アルバレスは、このことをチリにとっては幸先が良いことだと考え、「私たちの産業としては、温室効果ガス、特にCO2の排出量の即時、大幅な削減を達成するため、エネルギー移行に参加しなければならないと確信しています。そのため、すでに実施している活動や、継続的に測定、認証している活動を超えて、世界的な気候中立の目標にさらに貢献することができ、エコ燃料が要となる新たな連携に対応していきたい」と述べた。

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